『マリアの子』(2021・邦)感想
『マリアの子』(2021・邦)
【あらすじ】
雄介には父がいない。
母の真理亜と、親友の梨沙と三人で暮らしている。
雄介は、断ることができない性格でイエスマンと揶揄われ、馬鹿にされていた。
彼を馬鹿にしないのは、クラスメートの有紗だけ。
有紗に庇われ、情けなく思っていた雄介は、慰めてくれた理沙に対して、他人の癖にと八つ当たりしてしまう。
咄嗟に家出をしてしまった雄介がふと気づくと、自分が生まれる前の街に来ていた。
雄介は、クラスメートの有紗と共に自分の父親を探し始める。
これが…
こう。
どう見ても長閑な田舎です。
いやぁ。昔っていいですよね。
自分の母親の後をつけ、男の影を探します。
それって、ストーk…
いやいや。なんでもありません。
すると、病院に向かう真理亜に声をかけた男性が。
父親かと慌てる雄介でしたが、それは梨沙の兄でした。
合流した梨沙と一緒に病院に行く真理亜。
雄介は大胆にも病院に忍び込みます。
そして…
結局、父親は分かりませんでした!!!
えぇー!って感じだけど、そんなことはどうでも良いのです。
病院に忍び込んだ雄介は、盗み聞きした話から自分が体外受精による子だと知ったのです。
真理亜はシングルマザーとして雄介を産み、育てると最初から決意していたのです。
ショックを受け、思わず屋上へと逃げ出した雄介。
有紗が追いかけます。
有紗ちゃんも、なんと体外受精によって産まれた子だったのです。
確かに今時、珍しくはありませんよね。
有紗は、
体の外だろうが中だろうが、愛されていることに変わりはない。
私は望まれて産まれてきた。
あなたもそうでしょう⁉︎
と、一喝します。
目が覚めた雄介は、もう一度、二人の様子を見に戻ります。
そこにいたのは、雄介の誕生を心待ちにする二人の姿でした。
その姿に愛されているとようやく理解できた雄介は素直に家に帰る気になったのです。
そして、自分を楽しみにし、ずっとそばにいてくれた梨沙もまた自分の家族の一人だと、謝罪をしたのでした。
かくも人間愛とは良いものですね。
有紗ちゃんも良い子すぎるよー。
昔懐かし昭和の香りの家族愛の映画といえばこれ。
あるいは、イエスマンも悪くない?
『69〜歌舞伎町最強男は俺⁉︎〜』(2010・邦) 感想&ネタバレ
どうも、井伊古里です。
私事ですが、最近引っ越しました!
ところが、新居の寝室、照明のスイッチが見当たらないんですよね。
おかげで深夜でも常に電気は付けっぱなしで、我が家は完全に不夜城と化しています。
防犯的にはバッチリですかね。
さて、眠らない町といえばこの町です。
『69 〜歌舞伎町最強男は俺⁉︎〜』(2010・邦)
【あらすじ】
ぶっちゃけあらすじも何もない。
もうタイトルで既にあれw
35を過ぎて童貞の今田梨男が、夕方6時から夕方の9時までの3時間だけ、何故か伝説のヤリチ●と勘違いされて歌舞伎町でモテモテになる。
勢いとノリだけの酷い映画ですが、何も考えたくない時にはおすすめ。
梨男は冴えないサラリーマンで、営業に行くフリをしては公園でサボっています。
生活も、自販機の誰かの取り忘れっぽいエナジードリンクをゲットしてラッキーと喜んでしまうくらいには寂しいものです。
仕事終わりに同僚とふらふらと歌舞伎町の居酒屋に飲みに行きます。
そこで相席となった、オフのキャバ嬢夏美に伝説のモテ男と勘違いされます。
話とは関係ないけど、同じくうだつのあがらないダサリーマンの五木のえ、マジかよ⁉︎みたいな顔が面白かったw
夏美の勤めるキャバクラに連れて行かれ、モテモテの梨男。
両手にしな垂れかかる美女達に鼻の下が伸びます。
次の日も仕事がある梨男は名残惜し見ながらも、帰ることに。
そして、送るとついてきた美里と良い感じになり、あと少しでキス…
というところで時計のアラームが鳴ります。
9時を告げるその音を聞くと、美里はハッとして、あっち行って‼︎と頬を叩いて去って行きました。
ビンタされた梨男は呆然とします。
さて、梨男は次の日も懲りずに歌舞伎町に繰り出します。
今度は楽しむ間に時間をよく確認しています。
時計なんかより私を見て〜という美女にニヤつく梨男。
良い気持ちになってばかばかお酒を飲みます。
そして、トイレに立つ梨男。
トイレでうっかり寝てしまったことに気づき、時刻を見ると9時を過ぎています。
慌てて出ると、既にキャバ嬢達はみな解散しています。
立ち尽くす梨男に高額な伝票が渡されるのでした。
それからというもの梨男は、6時から9時まで派手に遊ぶように。
そして、ある時、歌舞伎町キャバ嬢No.1凛花を見かけ、恋に落ちてしまいます。
梨男は夏美の口利きで凛花さんと呼ばれる絶世の美女と対面します。
ところが、凛花さんはメロメロではありません。
塩対応とはいかないものの、つれない素振り。
帰りに、梨男は他のキャバ嬢から、凛花は心を開かないと言われます。
なぜかと聞くと、死別した旦那の治療費として悪い男に騙されて大量の借金をしてしまったからだと答えました。
話を全て聞いた梨男は、堪らず駆け出し、再び凛花の前に現れて叫びます。
凛花さんの借金を僕が全て返します‼︎と豪語する梨男。
この時、初めて凛花の心の底から嬉しそうな笑みを観たのでした。
そして、さまざまな金策を行いはじめます。
ところが儲かる梨男を快く思わない者も現れます。
梨男は誰かから嫌がらせを受けるようになりました。
それでも、めげずに稼ぎ、凛花の借金を返済できるだけのお金を集めました‼︎
ところが、凛花にお金を渡し終えた帰り道、冤罪を着せられ、警察に捕まえられそうになります。
そこを見かけて助けてくれたのは、これまた見たことのないクール系イケメンでした。
ここは歌舞伎町だよ。
人の恨みを買わないよう気をつけてー…。
と忠告して去っていくイケメン。
お礼を…
と梨男が言いかけるも、
待っている女がいるんだ…
とイケメンは去って行きました。
その背中には、よく見るとランドセルが。
イケメン小学生の登場に、思わず梨男は歌舞伎町こわ…と呟きます。
さて、危機は脱したかのように思えた梨男。
ところが、梨男は気づくと縛られて倉庫に転がされていました。
目の前にいたのは怪しい爺さんです。
爺さんは、自分のことを有田博士と名乗り、梨男を罵倒します。
おかしいと思わんのか?
時間限定で女が、冴えないお前に…冴えないお前に惚れるなんて。
と続ける有田博士。
二回も言いやがって…と悔しすぎてハンカチを噛み締めるも正論でぐうの音も出ない梨男。
有田博士は、
ワシが長年かけて開発した精力増強材を貴様が飲みおって!!
と続けます。
そう!
冒頭に梨男が飲んだ栄養ドリンクこそモテの秘訣だったのです。
この栄養ドリンクは、ホルモン代謝が活発な夜6時から9時までの間だけ男性ホルモンが一時的に増す体質にさせるものでした。
女性から常にモテまくりで、遂には絶世の美女と結婚した息子から着想を得て、ずっと研究してきたという有田博士。
女子トイレを覗こうと公園に来たものの、梨男が営業のサボりで現れ、咄嗟に自販機に精力剤を隠してしまったんだ、
と、地団駄を踏んで怒りますw
もう一本作れば良いという梨男に、時間がかかるから間に合わないと泣き真似をする有田博士。
なんと、有田博士は病気で先が長くないのだそうです。
だからこそひと時だけでもモテるため、薬を作ったとのこと。
衝撃を受ける梨男。
深刻な顔で病名を尋ねます。
有田博士は逡巡の後、梨男の耳元にそっと耳打ちします。
それを聞いた梨男はー…
性病じゃねえか!!!!
とブチギレますw
息子が先立つ辛さはお前には分からんじゃろ!!
と応戦する有田博士。
そして、なんとモテフェロモンは栄養ドリンクを定期的に摂取しないと効果が持続しないという事実を知ってしまう梨男。
梨男は、まだまだモテたいとおいおい泣き出し、有田博士もワシもモテたいと泣き出します。
収集のつかない最悪の事態です。
ところが、倉庫を開けて凛花が現れます。
凛花は言います。
「もうやめて、お義父さん‼︎」
有田博士はなんと凛花の死別した夫の父親だったのです。
私は、彼の男性ホルモンに惚れたわけではない、と言う凛花にハッとする有田博士。
人間性が伴っていなければ、どんなに男性ホルモンがあっても仕方がないという凛花。
有田博士と梨男は男性ホルモンに目が絡んでいたことに反省します。
落ち込む有田博士に凛花はそっとお金と航空券を渡します。
その性病は海外で治療法が見つかったから治してきてと凛花は言います。
有田博士は泣いて喜びます。
大団円です。
今こそと鼻の穴を膨らませ、凛花にキスをしようとする梨男。
そこに、
母さん‼︎
と、声が。
倉庫に現れたのは、あのイケメン小学生。
心配した、という小学生に微笑む凛花。
凛花は、まさかの一児の母親だったのでした。
あまりのショックでひっくり返る梨男。
そんな梨男の目の前に広がったのは真っ青な空でした。
梨男は高らかに笑いながら、歌舞伎町に行くぞーと財布を突き上げます。
テンション高い変態が出張る映画がお好きならこちら。
『数日後、君想ふ』感想&ネタバレ
どうも、井伊古里です。
毎日、ブログ投稿を続け、早一年。
時間が経つのはあっという間ですね。
え?毎日、投稿されていない?
それは、おそらく時空の歪みのせいですね。
人生を味わい、咀嚼し、舐り回し、胃に入れてからもう一度口に戻して咀嚼する。
そんな生き方をしてるので、多分、私は皆さんよりも時間が遅く進んでるんでしょう。
つまり、3ヶ月ブログを放置したように見えるのは、私にとっての1日が皆さんにとっての3ヶ月と同じだからだということの何よりの証明になるわけですね。
やだ、私の時空だけ時流れるの遅くない!?
まぁ、それはさておいて、相対的なものである時間。
万人に流れるものの、その捉え方は様々です。
それでは、この時間が大きくズレている者同士ではどのような違いが起こるのでしょう。
ということで、本日の映画紹介です。
『数日後、君想ふ』(2014・邦)
【あらすじ】
これは、地球以外の惑星にも住めるようになった未来の話。
地球在住の廣田は、地球に遊びにきた真理子さんと恋に落ちます。
沢山の思い出を経験し、真理子さんが星に帰る時にも、二人は遠距離恋愛を約束します。
ところが、星に戻ってからも続いていた二人の関係はやがてー…。
というわけで、この映画は異星人同士の恋愛を描いた二人のラブロマンスです。
とはいっても、二人は同じ人類、ホモサピエンスです。
じゃあ、何が異なるのかというと。
ただ一点、それぞれの惑星で流れる時間の速さだけ。
ところが、これが致命的なのです。
地球ではイチャイチャしていた二人でしたがー…。
ところが、真理子さんの惑星での時の流れは地球と比べて鬼早だったのです。
スーホの白馬よろしく、時間はトップスピードで駆け抜けます。
毎日の連絡のやり取りは、彼女にとって2.3週間に一度のメールだったわけです。
そりゃあ、恋の炎も冷めてしまうかもしれません。
仕事で悲しいことがあった真理子さん。
でも、それを話すことができません。
なぜなら、廣田は仕事中。
真理子さんの電話に出られないのです。
廣田が仕事を終え、折り返しかけた頃には、一週間も過ぎているという具合。
やがて、真理子さんの気持ちは離れ、二人は破局してしまいます。
時は流れ、老婆になった真理子さんは再び地球に観光しに来ました。
そして、異星行きターミナルに佇んでいた廣田と擦れ違うのです。
鞄がぶつかって一瞬視線が交錯します。
涙を流している廣田を見て、真理子は咄嗟に話しかけ、理由を聞きます。
廣田は恋人と別れたことを話し、思わず声をつまらせます。
真理子を老婆にした時の流れは、廣田にとっては瞬く程度、傷の癒えるほど時が経っていなかったのです。
けれども、かつての恋人であった二人は気付きません。
真理子にとっては廣田の記憶は何十年も前のこと、廣田にとって真理子は若い女性なのですから。
気づかぬまま、真理子は懐かしそうに言います。
私も昔、大好きだった人がいた。
結局、別れてしまったけれど、今は幸せ。
愛する家族もいる。
どんな経験も素敵だと思うわ。月並みだけどね。
そして、廣田にハンカチを渡しました。
廣田はそのハンカチを見て、好きだった人と同じイニシャルだと、涙を流し、お礼を言います。
そして、星に帰った真理子さんはその後、亡くなってしまいます。
家族や娘に看取られ、幸せな人生だったようです。
やがて真理子の孫娘も成長し、星で大きくなり青春を満喫しています。
そして、その頃、地球では、少しだけ歳を取った廣田が部屋の整理をしていました。
その時、ふと出てきたハンカチ。
真理子がくれたものでした。
それを見て、郷愁に駆られた廣田。
ハンカチを手に取り、目を瞑りますが、やがて、遠くから、パパー!と呼ぶ幼い娘の声が聞こえてきました。
廣田は目を開けて、駆け寄る娘を抱きしめて終了です。
うーん?
まぁそこそこって感じの雰囲気だけ映画ですかね。
タイトルもう少しなんとかならんかったのかなーとは思いますが。
数日後が数年ってことなんだろうけど、ぶっちゃけかなりダサいですw
時間の概念に興味が出てきた方はこちら。
あるいは、時間と恋人の話がもっと見たい方はこちら。
『理想の女』(2006・邦画)
どうも、井伊古里です。
先日、家族に会ってきてとても楽しいひと時を過ごしました。
その時、ちょろっと話題に上がったことが『期待』でした。
我々人間は、どうしても他人には期待してしまう生き物。
それが近くなれば尚更です。
期待を互いに押し付けあって双方が疲れるくらいなら、たまにちょっと会うくらいの方が相手に期待や依存もしきらないかもしれません。
そちらの方が、結果として長くうまく行く場合もありますね。
なんでもそうですが、離れるほどやっぱり美化されるような傾向はある程度見られる気がしています。
死人に勝てないのもその一つですよね。
人は皆、自分の理想を一番に愛してしまいがちなのでしょう。
ともすると、相手本人よりも。
ということで、
『理想の女』(2006・邦画)
【あらすじ】
人間社会が嫌いな一人の男、野田光逸。
彼は、ある時美しい絵画を買い、その絵画に描かれている女性を寝食忘れるほどに愛するようになった。
ある時、その絵画の女性が動き始め、会話ができるようになるー…。
絵画の女性が話し始めて、初めは喜んでいた野田ですが…。
さて、これは、ミニシアターで上映されていた映画ですね。
はちゃめちゃに面白いわけではないけれど、なんとなく雰囲気があります。
後、いろんな絵画や絵の女の人が象徴的に表されててそこは素直にかなり良かった。
最初のスタートは、駅の改札を出て男が足早で歩いて行くシーンです。
この男が野田。
絵画が好きで博物館とか美術館とかを巡っているようです。
そんな彼は、周囲のお店には興味なし。
八百屋に並ぶ美味しそうなフルーツにも目をくれず、博物館を一目散に目指します。
博物館で、彼は絵画を鑑賞します。
完全に無音で、時が止まったかのような感じ。
ここは映画館で観るべきですね。
宗教画とかいろんな女の人とかの絵画がたくさん出てくるんだけど、野田が観てるだけじゃなくて、野田もまた見られてるような感じ。
ちなみに彼が鑑賞していた絵画には、フルーツが描かれているものもありました。
ってお前、さっき八百屋のフルーツには目もくれなかったじゃろがいw
そして、野田はその帰りに少年の頃、モナリザの絵画の前で呆然と立ち竦んだことを思い出しています。
どうやら初恋はモナリザのようですね。
夢のようなひと時を過ごし、帰宅した野田は自分の生活に戻ります。
映像の色合いも、先ほどと比べてどことなく暗い。
そして、夕食の準備をします。
そもそもこの野田という男はかなり神経質なんですね。
アーティスト気質というか、自分のスタイルを曲げられない。
映画の中でも、机のセッティングとかご飯の食べ方とかそういうマイルールがいくつも出てくる。
そんな職人気質の野田は現実に不満を抱えているんですね。
だから現実の世界の映像は、どことなく色調が抑え目で暗い。
一方、絵画が映されているシーンや画材などを映すシーンは、それが暗めのものでも明るくて鮮やかに映しているんですよ。
そんな野田がね、たまたま露店で売ってた絵画を購入して、それでもって絵画の女性と会話するようになって。
少しは現実世界も明るく映るようになるわけです。
こんなの、野田、良かったね…って思うじゃないですか。
絵画の女性は、これまたミステリアスかつ柔和な感じだ口数は少なくてね。
貴方たち、お似合いですよって。
それでも男を心配して、ついポツポツ注意してしまう女心。
それが気に食わなかったんでしょうね。
最初は相思相愛って感じだった二人だけれど、だんだん空気が冷えていく。
絵画の女性を映す色合いがね、どんどんくすんで暗くなっていくのが、如実に野田の心が離れていくのを表してるの。
辛い。
そして決定的なのが、言い争いの後。
野田が間違えてお茶を溢した時。
溢してしまったお茶が絵画にかかってしまうんですよ。
それでも、野田は絵画を拭きにいかなかった…。
外は雨がザーザー振っていて、沈黙だけがただ流れているっていう。
二人の溝はもう決定的だと分かるシーンですね。
そして遂にね。
遂に、野田は、黒い絵具で女性の顔を全て塗りつぶしてしまうんですね。
印象的なのが、彼女の顔に黒く筋が塗られたところ。
何も言わないんだけれど、彼女は、野田に黒い絵具で顔を塗られた時に、そこをそっと優しく触れるんですよ。
愛した男からの仕打ちに、塗りつぶされる前に絵画の女性は何を思ったのかなぁ。
そして、場面は暗転します。
顔が完全に塗りつぶされ、真っ暗になった絵画。
そして、ようやく安堵で野田が笑うんです。
凄い満足そうな笑顔がドアップになって終了。
世にも珍妙な物語であれば、この後、絵画の世界に男が閉じ込められるとか体が入れ替わるとかそんななのでしょうけどね。
単館系の映画だから、そんなこともなく。
塗りつぶされて男が笑うシーンでそのままエンドロール。
そして、実はラストの男が笑うところ。
男が笑っているシーンが映るのは映画の中でここだけなんですよね。
絵画の女性が消えて初めて野田は本当に安心して心からの笑みを浮かべられたんですね。
でも、野田を愛していた絵画の女性はその笑顔が見れないんですよ。
塗りつぶされているから。
絵画の女性の気持ちを考えるとなんとも言えなくなってしまいますが、野田的には理想のままでいて欲しかったということなのでしょうね。
人間の傲慢さとかままならなさとかすごく詰め込まれた映画でした。
絵画が出てくる映画がお好きな方はこちら。
『マーメイドな俺ら』(2004・米)感想&ネタバレあり
どうも、井伊古里です。
人魚っていいですよね。
ヒレの力強さと言ったらそりゃあもう。
私もいつかビタンビタンのたうちまわりたいものです。
ということで、本日の映画。
『マーメイドな俺ら』(2004・米)
【あらすじ】
人魚の国のブサメン、テイル。
モテたい!!でもモテない!!
そんなテイルは、40歳の誕生日までに童貞を捨てなければ死んでしまうという呪いにかかってしまう。
果たして40までに呪いは解けるのかー…!?
(ポップより)
人魚界屈指のブサメンであるテイル。
見た目か、性格か、あるいは極小サイズのヒレのせいか、、、とにかく全くモテません。
そんなテイルはある日、ハサミを三つもつ変わったカニを追いかけて入った洞窟で、謎の穴に指を入れてしまい、 呪いの品に触れてしまいました。
そこの近辺に生えていた昆布には、文章が記されていました。
それによると、その呪いの品は、かつてモテなかった人魚が恨みを込めて作った曰く付きの品だそう。
呪いから助かる条件は、たったひとつ。
触った者が40歳の誕生日までに童貞を捨てること。
海では出会いがないとふんだテイルは、嫁を探しに陸へと向かうことにしました。
親友のゲイルに相談すると、彼は以前どこかで拾った人間になれるドリンクを持っていました。
二人はそれを飲み、意気揚々と人間になり、ビーチへ向かいます。
そして、浜辺にいたスイートでキュートなガール達に声をかけます。
「よぉ、ネェちゃん。俺ってどう見える?」
「どうって……変人以外に何かある?」
得意げに頷くテイル。
「だろ?でも、人じゃない。こう見えて俺はマーメイドなんだぜ、子猫ちゃん」
美女は視線を落とし、真っ裸のテイルの下半身を見て、鼻で笑います。
「…確かに貴方はリトル・マーメイドね」
さっそくセクシー美女にからかわれてしまったテイル。
やーい、お前の股間リトルマーメイド!!
テイルはそれでもめげません。
ゲイルの提案で、市街地に移動するテイル。
そこは、人魚の伝説が息巻く町でした。
町の人は親切で、しかも人魚の話を皆楽しそうに語ります。
極め付けには、人魚の銅像。
自分はモテると完璧に勘違いしたテイル。
その勢いで町の人たちと共に酒場に連れられます。
親切な人たちにしこたま飲まされ、初めての酒に酔い、爆睡するテイル。
テイルとゲイルが寝てしまうと、町の人たちは二人の懐をあさり始めます。
なんと、この町の人たちは、人魚伝説でよそ者の気をひいて、酔わせては金品を盗むのを生業にしていたのです。
幸い、二人は一文無しだったので、そのままゴミ捨て場に捨てられます。
さて、昼頃に目覚めたテイルとゲイル。
なぜこんなところにいるのかと首を傾げつつ、また旅に出ようとします。
が、テイルは誰かのゲロを踏んでしまいます。
人魚なのにゲロを踏むなんて、足なんか持ったせいだと憤りまくるテイル。
それを聞いた、通りがかりの大学生達が顔を見合わせます。
彼らは、大学で学んだ、人魚の涙は真珠に変わるという説を思い出し、一攫千金を夢見て、テイルになんとか涙を流させようとします。
大学生達は、代わる代わるテイルに悲しい話や切ない話をします。
しかし、ゲイル曰く『感情がカビてる』らしいテイルは、感情の機微に疎く、涼しい顔。
泣くどころか、鼻くそをほじっていました。
それに気づいた大学生達は、キレて口々に童貞などと罵倒を浴びせ、去っていきます。
思わずホロリと涙を流すテイル。
零れ落ちた涙は綺麗な真珠ではなく、汚いコゲみたいな塊でした。
そのコゲは後からやってきた猫が間違えて食べ、吐ましたw
テイルはもうたくさんだ、呪い通り死んでやると海に帰ろうとします。
そこにひらひらと一枚の紙が落ちてきました。
それは、風俗のキャッチでした。
顔を上げたテイル。
気づけば、そこはネオン煌く風俗街。
カラフルな灯に誘われ、ふらふらと花街に入るテイルは、まさに光に群がる蛾のようです。
独特なプロのお姉さんとラブホに行ったテイルは初めて生のブラジャーを見て、その刺激で誤射してしまいます。
テイルはもう少しだけと粘りますが、一発だけの約束だったと、お姉さんはお金を巻き上げ、さっさと帰ってしまいます。
落ち込むテイルでしたが、鏡をふと見ると、そこには、
おめでとう、これを見た貴方の呪いは解けた
という文字が刻まれていました。
おそらく、モテなかった人魚はここで脱童貞を果たしたのでしょう。
何はともあれ、テイルの呪いは解けたのでした。
同じく別のラブホから満面の笑みで帰ってきたゲイルをテイルは本気で殴ります。
そして二人は海に帰ったのでした。
映画終了後のムービーで、再び変なものを触ってしまうテイル。
「あっ…」
という音声とともに暗転して終了です。
せっかく呪いが解けたのにいったい何に触れてしまったんでしょうね。
きっとまた呪いの品に違いありませんw
お馬鹿な男達がお好きならこちら。
若いお馬鹿な男が良ければこちら。
『ナギとマテラと地下の国』(2021・米)
どうも、井伊古里です。
皆さん、お姫様は好きですか?
私は好きです。
というか、未だに自分はお姫様だと思って生きています。
なので、他のプリンセス映画を観ても、
まぁ、他国の姫はこのような感じなのね、おほほほ…
という清々しい気持ちですらあります。
なんなら、交友関係もある気がしてきましたね。
プリンセス?知らないけど、多分皆、友人だぜ。
ということで、本日は私たちにも身近な日本の姫友を紹介致しますわ〜
『ナギとマテラと地下の国』(2021・米)
やった…!!
ついに、日本のプリンセスがValt Tisneyに!!
いやぁ、着物を着たプリンセスが見られるとは思いませんでした。感慨深いですね。
さて、気になるストーリーはというと…。
【あらすじ】
御転婆な姫ナギと、大人しい王子マテラは魔法が使える双子。
二人が住むタカマ国は、まだまだ小さくて弱いけれど、幸せの溢れる国。
ところが、ある日、地面から地獄の死者がやってきて、二人の両親である国王と王妃様を拐ってしまう。
二人は魔法の力を使って、無事に両親を取り返そうと冒険を始める…!!
さて、魔法の力がある二人の双子の兄妹のダブル主人公のお話ですね。
ちなみに、正式名称は、ナギちゃんは癒破病直現繋姫(いはやなほうつつなぎひめ)
マテラ君は暴嘘真照王子(ばっこまてらのおうじ)だと。なっが。
名前とか設定とか考えると、明示されてないけど、二人は多分神様とかなのかなぁ。
大人の都合上、神力を魔法の力と言ってるのかもしれません。
性格とかの元々の設定はとりかえばやとかでしょうか。
ちなみにとりかえばやは、日本でおそらく最も古くに書かれた男女入れ代わりドタバタ古典コメディです。(語弊)
漫画にもなってます。
さて、ナギとマテラは、魔法で互いに姿を似せ、服を交換してはしょっちゅう兵士の目を掻い潜って遊びに行っているようです。
しかし、この姫、大仏に登るわ、五重塔から落ちるわそりゃもう大変。かなり勇ましいですね。
そんな勇ましいナギとともにマテラも、捕らえられてしまった両親を助けに地下へと向かいます。
そこで二人は地下の国の計画を知ってしまいます。
どうやら、タカマ国を滅ぼし、世界を支配しようとしている様子。
両親を助けるだけではなく、地下の王を討たなければ平和が来ないと悟ります。
二人は、王国のため、王を倒すことを優先すると決めました。
ところが、二人は敵の策略でバラバラになってしまいます。
そこで、マテラ君はかなり心優しい草食系男子なので、会った敵の悲しい嘘話に涙ぐんでしまい、捕まってしまいます。
可愛いw
塔に閉じ込められてしまうマテラ君は、そこで無事に両親に会えました。
そして、心を通わせた地獄の動物たちに助けてもらい、ナギの元へと向かいます。
あれ、ヒロインはどっちだっけ…?
一方、ナギは謎の声に導かれるまま、道を行くと巨大な蛇に出会いました。
その蛇を打ち倒し、聖なる剣を手に入れたナギは地下の王を倒しに行きます。
相手も強く、負けそうなナギですが、マテラ達も間に合い、二人で力を合わせて戦います。
なんとか敵を倒し、マテラは真実を世界に伝えます。
地底の王が死んだことで地下の国は世界から切り離されてしまいます。
しかし、ナギが抜け道を見つけ、四人は無事に王国へと戻れました。
そして、戴冠式。
王となったナギとマテラは、互いに国を支えていく決意をしました。
話し合いの結果、真っ直ぐなナギは天の国を、地底に住んでいた動物たちを気にしていたマテラは地の国を治めることにしました。
二人はそれぞれ分かれましたが、たまに姿を入れ替えているようなシーンがあって終了です。
アジア系プリンセスが増えてきて嬉しい限りです。
それから中身は、ジェンダー的な役割に固定されなくていいよっていうメッセージ性もありそう。
女性のジェンダー感が見直されることは最近では増えてきましたが、なかなか男性はステレオタイプが求められる現代。
男性も役割に縛られなくていいんだよっていうことを示唆しているのは珍しい気もしますが、これがどんどん普通になっていくといいですねぇ。
ということで、Valt Tisneyにしては攻めの映画でしたね!
戦う勇ましいお姫様が好きな方はこちらをどうぞ。
『モンペ・モンペ』(2014・米)
どうも井伊古里です。
皆さん、最近戦っていますか?
私は毎日働きたくないという自分と戦いながら、労働してます。誰か代わりに働いてきてくれ。
そう、哀しいかな。人は誰しも戦わねばならぬ時というものが存在します。
例えば、それは、自分の大事な何かを守るため。
自分、家族、社会ー…。
自分や相手がどんな立場や社会的門地であろうと構いません。
必要な時に立ち上がる勇気。
それこそが、隷従に慣れてしまった我々に本当に必要なことなのかもしれません。
我々は本来、皆、誇り高き戦士なのです。
いざ!!プライドを胸に反撃の狼煙を上げろ!!
ということで、本日はこの映画。
『モンペ・モンペ』(2014・米)
キャッチコピーは "争いも辞さない" 。
簡単に言うと、教員の「きょ」はサービス業の「サ」ということです。(違います)
【あらすじ】
教員になったばかりのクレアは、モンペのスペンサー夫人に悩まされています。
ある時、スペンサー夫人はいつものようにクレアに文句を言います。
しかし、その時現場にはちょうどクレアの母親がその場に居合わせてしまい…。
さて、このお話、タイトルで相当出落ちですね…w
主人公のクレアさんは、一生懸命に頑張ります。
そんなクレアさんに突っかかってくるのが、スペンサー夫人。
あらあらまぁまぁという具合に、クレアさんのファッションから持ち物チェックまで。
やれ、
ファッションのセンスがないからもっと女性らしくしろだの、
鞄がおしゃれすぎるからもっと仕事を意識しろだの、
どっちだっちゅーの!というイチャモンをつけまくります。
ある日、クレアさんは休日の街中でスペンサー夫人に出会い、ネチネチ言われます。
ところが、クレアさんと待ち合わせていた母親がその現場を見てしまいます。
「うちの娘になんて言い草‼︎」
母親はすぐさま怒りだします。
ということで、予想がつくかもしれませんが、実はクレアさんの母親もモンペでした。
モンペという言葉が生まれた当初からの筋金入りのモンペだったのです。
なるほど、これは盲点でした。
今の時代の年若い教員だと、モンペの子供という可能性があるんですね…w
モンペの戦いは、化物の如く、ゴジラvsキメラあるいはシャークvsオクトパスのようなカオスを生み出していきます。
年季の入ったモンペ最古参と洗練された最新モンペ。
双方譲ることなく、ヒートアップするモンペたちの争い。
いつしか訴訟に大発展します。
果たしてこの争いに勝つのはどちらなのかー…?
さて、教員の母親と生徒の母親が法廷で争うとんでもな事態。
クレアさんの話は面白おかしく、街の噂になります。
生徒達からもからかわれる始末。
そして、とうとう校長に呼び出され、クビを宣告されたクレアさんは…
遂にキレてしまいましたw
二人の争いのせいで、職場を追われたクレアさんは、逆に二人と校長を訴えます。
見事、裁判に勝ったクレアさんは、満面の笑みでスーツケースを持って颯爽とNYを後にします。
煩い人間達から逃れ、お洒落を目一杯して、機内でウキウキのクレアさん。
ところが、CAがクレアさんの服にジュースをこぼしてしまいます。
クレアさんの鼻の穴がピクピク膨らんだところでお終いです。
鼻ピクは、お母さんが文句を言う前の癖だったんですよねw
ということでモンペに進化する予兆を感じさせつつ、本編終了でした。
モンスター達の争いもたまにはいいですね。
裁判&家族の絆、そして切なさを感じたいのならこちら。
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