『アドベントストーリー 〜君は追憶の中に〜』
どうも、井伊古里です。
本日も、映画ではなく、ゲームの話をしてみようかと思います。
皆さんは、ゲームをやりますか?
かつては、子供のやるもの、不良の遊びとすら言われたゲーム。
マリオやポケモンを始めとして気づけば社会現象に。
今やゲームは、限られた層だけのものではありません。
まさに、ゲームは全世界中の老若男女を虜にしているといっても過言ではありません。
ところが、人気が出れば出るほど起こってしまうのが話の陳腐化です。
進研ゼミよろしく、どこかで見たストーリーだ!!となってしまいがち。
特にRPGなんてジャンルはそうですよね。
王道が至高なれど、そうはいっても手垢がべとべとについてしまっているわけですよ。
だからこそ、本日お勧めするのは一筋縄ではいかない、やや鬱ゲーです。
カタルシスを感じることによって、使い古され、飽きのきていた王道ストーリーの素晴らしさを再確認できるでしょう。
ということで、紹介します。
『アドベントストーリー 〜君は追憶の中に〜』
5年前にリリースされた本作。単発のゲームで、やり込み要素は割と薄めです。
ただ、勇者アルノルドが倒したモンスター討伐値が出てくるのは嬉しい。
努力が見てわかるっていいね。
パーティーメンバーはあまり敵を倒してくれない仕様もあって、勇者にガンガン経験値が入るのも良い感じです。
では、早速ストーリーを紹介します。
勇者が救世主となって魔王を倒す、一見ありがちなそれですね。
なお、全3パターンのエンド、全て紹介しますが、だれも後味は悪いです。
<あらすじ>
ふと一面荒地で目が覚めた青年アルノルド。
アルノルドは記憶を必死に手繰り寄せる。
アルノルドは、村の青年で将来を誓い合った幼馴染みリリアがいた。
そんなアルノルドは、ある日、夢で女神から『かつて勇者だった者がこの村にいる』と言われる。
どうやらアルノルドのことを言っているようだ。
赤髪系美女、リリアさん
ところが、その後、リリアと共に出かけたアルノルドの記憶は空白だった。
偶然、助けてくれた旅人に話を聞くと、既に村は滅んでしまっているとのこと。
そして、旅人は魔王の仕業かも…と答えた。
君は、魔王が復活し、村が襲われてしまったことによってショックを受けて気絶してしまったのだろう、と言いにくそうに答える旅人。
ショックを受けたアルノルドだが、リリアの持ち物が落ちていることに気づき、リリア生存の可能性を見出す。
アルノルドは、幼馴染みを助けるため、魔王を倒しに旅に出る。
国も勇者アルノルドを探しており、国王支援のもと、聖女マリーと戦士、魔法使いで旅に出る。
…しかし、無理に勇者の力を解放したために体には常に負荷がかかっているので、勇者アルノルドは、頻繁に薬草を摂取しなくてはいけないという制約があった。
聖女によって調合された薬草のサポートを受けながら、一行は魔王城へ向かう…!!
ということで、勇者アルノルドは、中盤の大きめな都市『思い出しの都市』で、たまたま不思議な雑貨屋に訪れます。
色々変わった商品がある中、アルノルドは『追憶の鏡』という商品に目を止めました。
アルノルドは、なぜかおどおどした店主から、この『追憶の鏡』をただで受け取る。
そして、ゲームに現れる
『▼思い出しますか? はい / いいえ 』
の文字。
いいですか。街の名前に引っ張られ、ここで思い出してはいけません。死にます。
盛大な初見殺し。
いくら店に入る前にセーブさせられるとはいえ、死ぬとは…。
これは、三つのエンドのうちの一つ、①バッドエンドです。
このエンドでは、アルノルドは、かつても勇者だったことを思い出します。
魔王を退治した後、気が狂ってしまったアルノルドは、その当時婚約していた王女ごと王国を滅ぼしてしまいました。
そして、その後、封印されていたのです。
思い出してしまい、アルノルドは発狂して周囲を巻き込み、死にます。
別名、SAN値エンド。
ちなみに、ここで、『いいえ』を選択して、思い出さないようにすると、そのまま普通にストーリーを進められます。
ただし、ここで『いいえ』にすると、それ以降使おうとしても、
『▼思い出したくないことがあるようだ』
と出てきて使えません。
業が深い…。
さて、さらに都市を進むと、『優しき村』へ辿り着きます。
ここで、勇者アルノルドは村人からのひそひそ声や悪意を感じ取ります。
それでも、村でスライムに襲われた子供を助けようと、スライムを攻撃するアルノルド。
子供はそのすきにお母さんのところへ逃げます。
住人が、もういいのでは…と制止するも、村で生かしておいては危ないから、と止めをさすアルノルド。
周りは称賛の声をあげるどころか、沈黙が落ちてしまいました。
その後、聖女に自分はどうすればよかったか相談するアルノルド。
助けたのになぜ人々から悪意が向けられるのか、と悩みます。
聖女マリーは優しく言います。
「悪意を向けられてる気持ちになるのは…人々から悪口の幻聴が聞こえるのは、
貴方がモンスターへの罪悪感を持っていたからです。
勇者様はお優しいのですよ。」
そうして、励まされた勇者アルノルド一行は遂に魔王を倒します!
この時点でレベル上げも考えると、大体、モンスター討伐値は1500くらいになっているはずです。
経験値完ストなら、3000体はくだりません。
そして、帰ってきたアルノルドは王宮に呼び出され…
処刑されることに。
なんでや!?勇者が何したって言うん…
そこで分かったのは衝撃の事実。
モンスターはもう人間によって滅ぼされていたのでした!!
てことは…殺してたのは何…?
それは、人間でした。
隣国と戦争している王国が勇者の力を利用しようとしていたのでした。
そのために、敵国の人間がモンスターに見える幻覚剤を薬草と称して飲ませていたのでした!
聖女はそのために同行したのです。
王様はリリアの行方は知らないそうです。
隣国の国王を魔王と思い込み、一方的になぶり殺しにしたアルノルドはもう用済み。
その強さが脅威であること、また国民は何も知らないので勇者が残忍であると思っており、全く支持がないことから、処刑の話が浮上したのでした。
勇者アルノルドは、戦ってきたメンバーを見ますが、誰一人かばいだてしません。
皆、幻覚剤のせいとはいえ、躊躇いなく人を殺すアルノルドに嫌悪感を持っていたのでした。
勇者アルノルドは絶望し、処刑を受け入れます。
強いアルノルドは簡単には殺せないので、魔王すら殺せる聖なる刃で首を切られることになりました。
そしてアルノルドは、勇者としてではなく罪人として殺されました。
はい、これが②ノーマルエンド。
可哀想。゚(゚´Д`゚)゚。
そして、最後の③トゥルーエンド。
これはもう一周プレイする必要があります。
ですが、処刑が決まるところまでの流れはぶっちゃけ同じです。
ところが、牢に入れられた後、アルノルドは身につけていた『追憶の鏡』の存在に気づきます。
ここで、
『▼思い出しますか? はい / いいえ 』
で『はい』を選択するのです。
アルノルドの正体は、かつて殺される直前に勇者の身体を乗っ取った魔王でした。
当時の勇者は自分の攻撃によって死亡。
勇者の身体に入った魔王は人間の国を滅ぼしたものの封印されてしまいました。
それを魔力を持っていた村の青年アルノルドが偶然にも封印を解いてしまったのです。
その衝撃で、人間アルノルドと幼馴染みリリア、そして村は全て滅びました。
人間アルノルドが触れたことによって魔力を介して記憶を受け継いだことで、魔王は自分がアルノルドと勘違いしていたのです。
魔王アルノルドは、アルノルドの記憶を介してリリアを愛してしまっていました。
それでも、処刑を待っていたアルノルドは、人間にこれ以上利用されないようにと、魔力を使って牢を抜け出します。
着いた場所は寄しくも、最初目覚めた場所でした。
魔力を使ったことで、身体は変質し、角が生えたアルノルド。
悲しみにくれ、魔力を使って世界を滅ぼそうとするも、魔力が枯渇していることに気づきます。
長期的に毒草を使用していたため、人間の体であったアルノルドの身体にはダメージが蓄積されていたのです。
もはや魔力を生み出せなくなったアルノルド。
異形の体では、人間の世界では生きられず、魔力もありません。
けれど、魔王だったアルノルドは勇者以外の人間には殺すことはできないため、死ぬこともできません。
アルノルドは、永遠にモンスターの滅びた世界で生きていくしかありません。
人間どもめ…と言いながら、近くの死体を蹴飛ばし、アルノルドは、愛した女性リリアの名を呼びながら啜り泣きます。
蹴り飛ばされた死体は、腕輪を嵌めていました。
アルノルドの号泣を背景に腕輪は月明かりに鈍く照らされたまま、エンドロールに突入します。
エンドロールでは、あるシーンが流れます。
それは、まだ人間だった頃のアルノルドが、腕輪を作っているシーン。
悩んだ末、自信作を一つ選んだアルノルドはリリアの待つ森へと駆けて行きました。
未来への希望に溢れ、キラキラした笑顔で。
ということで、
…救いがない。
モンスター討伐値…。勇者だった者…。
優しき村ェ…。
嫌な話だったね。
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