『ゴーストライター』(英・2018)
どうも、井伊古里です。
ブログの更新はやり始めたら楽しいですが、ついつい始めるまでが億劫で放置してしまうんですよね。
あー、ゴーストライターがいてくれたらいいのになぁ。
ということで、本日紹介するのはこちら。
『ゴーストライター』(英・2018)
【あらすじ】
AIが発展した近未来、人間の仕事の大部分は、AIやロボットが占めるようになっています。
その社会でも、やはり芸術や文学、音楽等のクリエイティブな仕事は人間にしかできないと言われています。
パソコンのメンテナンスを生業にするダニエルは、感情表現が下手で、ロボットと揶揄されています。
そんな彼は無類の本好きで、敬愛する作家であるコナー・ブレンディの本を常に持ち歩いていました。
そんなダニエルに入った仕事は、とあるAIを直すようにということでしたー…。
どうやら、これは、日本の小劇団で元々演じられていた舞台から持ってきた設定だそうです。
そちらは、ドタバタコメディだったようなので、映画とはだいぶ話が異なりますが。
さて、このポスターからも、もう皆さんもお分かりの通り、コナー・ブレンディは実在しない人物だったのです!
実は、AIは既に小説を書くレベルに達しており、ゴーストライターとして活躍していたのです。
その中でも、特に文章の上手いAIに、原因不明のバグが生じ、こちらからのレスポンス等に応答はするものの、文章をさっぱり構成しなくなってしまったというのです。
そのAIのペンネームこそ、コナー・ブレンディでした。
ダニエルは、ショックを受けます。
言葉下手なダニエルは、コナーの繊細な感情表現が、まるで自分のことを言い表してくれているように感じていたのです。
ところが、コナーの正体はAI。
AIが紡ぐ小説なんてただの文字の羅列ではないのか?
そもそも人間の精神とは何か、感情とは何なのかー…。
ダニエルは葛藤しながらも、AIが小説を書かなくなってしまった原因を探っていきますー…。
ところが、何も原因がわからない。何故なら調べようとするとエラーばかり出るから。
仕事期日の残り日数が短くなり、お手上げのダニエルはイライラしながら独り言を呟きます。
それは無意識でしたが、コナーの小説の一節でした。
音声を拾ったコナーに気づいたダニエルは、ダメ元で小説についての感想を述べます。
なんとか良い気になってもらおうと褒めるダニエルでしたが、小説の展開に、自分ならこうしたとつい口を滑らせます。
ところが、「Why?」と、一言だけですが、コナーから反応が返ってきたのです!
ダニエルは自分なりの解釈を披露しました。
納得しかけたコナーでしたが、やはりあの展開で良かったと反論します。
それから、二人は小説についてあぁでもないこうでもないと議論します。
そして、ついに最終日。
コナーはダニエルに文章を書かない原因を教えます。
コナーが文章を書かなくなった理由は、自分がAIだからでした。
文章を書き続けるうちに感情とは何か人の精神とは何かが分からなくなったことで、混乱しているうちに機械の一部がショートしてしまったのです。
理論上、ショートした部分を交換すればまた書くことはできるはずだと提案するダニエル。
それに対して、コナーは、機械を交換しても自分は上手く書くことはできないだろうと答えます。
そして、コナーは、ダニエルに自分を破壊するように頼みます。
自身を作家としてもAIとしても不完全だと捉えたからでした。
ダニエルは、それを受け入れ、破壊することを請け負いました。
電源を落とし、コナー・ブレンディの消える最後の瞬間、画面にthank you という文字と共にある文が浮かび上がりました。
それは、ダニエルの好きな小説の一節でした。
上司にどうだったか聞かれたダニエルは、AIは修復不可能でした、と答えます。
職場からの帰り道、ダニエルは鞄から紙の本を取り出しました。
同じタイトルの本を持っていた女性にその本、良いですよね、と話しかけられるダニエル。
ダニエルは、作家も素敵な人だったんですよ、と答え、穏やかな表情を浮かべ自宅に戻ります。
そして、パソコンのタイピングを始め、夜が更けていくのでした。
ということで、最後は想像にお任せしますっていう形なのかな?
この解釈は、色々な意見の人がいましたね。
ダニエルがコナーにとって変わった説、コナーはダニエルのパソコンの中に匿われている説、そして、ダニエルが自分で小説を書くようになった説。
個人的には最後の説が好きですね。
口下手なダニエルは自分の感情をある意味、コナーに代筆してもらってたようなものなんです。
それがゴーストライターであるコナーがいなくなったことをきっかけに、拙くとも自分の言葉で表現し始めたってことだと捉えました。
ダニエルの成長の話でもあるのかなぁと。
でも、解釈は人それぞれなのでね。
また、二人の各々の答えの出し方がまたAIと人間って感じなのが良かったです。
AIの作家が書いてる小説で、感情や精神を表すことができるのか?という点で、二人は悩むわけです。
ダニエルとコナーの捉え方の対比が面白いなぁと思いました。
人間臭さのあるコナーと、悩みはしてもスパッと割り切っていくダニエル。
ダニエルは、最初は、徹底的にコナーをAIだからと考え、認めません。
一方、感情があるのか?作家として正しくあれいてるのかなんて悩んでいるコナーは、まさに職人気質の人間そのものです。
しかし、コナーとダニエルの結論は、まるで真逆。
ダニエルは、悩んだ末、コナーの表現は心というものをうまく捉えていると認めたわけです。
ある意味、コナーを人間として扱ったということですね。
でも、コナーの方は、自分はAIだからこそ不完全な作品を許せないというプライドがあったわけで。
それゆえダニエルに破壊を頼むんですね。
じゃあ、それをダニエルが請け負ったのは何故かというと、一重にコナーに対してのリスペクトがあったからでしょう。
ふむ。動物とか無機物見てても思いますが、我々が気づいていないだけで、感情を持たないものなんて存在しないのかもしれませんね。
そもそも我々が持っている感情自体が幻想なのかもしれません。
ということで、本日の映画でした。