映画廃人・井伊古里の夢ブログ

実在しない映画の感想を延々と書いたり、日常で作ってみたものをあげてみたり。小さくても一生懸命生きています。

『君は透明』(2020・邦画) 感想

 

どうも、井伊古里です。

最近、時間進むのが早すぎませんかね。

私だけ7月と8月が来なかった気がする。

多分だけど、6月から9月に飛んでる、うん。

時間は、一度進んだら帰ってこれないんですよ。

だからこそ貴重なんだ、ってわけで。

 

本日の映画。

『君は透明』(2020・邦画)

 

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胸が苦しくなる青春映画です。

主人公は23になった青年なんだけど、過去と現在が交互に入り混じって話が進んでいきます。

 

<ストーリー>

主人公の廣瀬は、独り身で定職にもついていない。

新宿に降り立ち、当てどもなくフラフラ歩いている。

そんな廣瀬は、自転車のブレーキの音をきっかけに、「廣瀬」と呼ぶ声を思い出す。

 

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廣瀬が思い出した場面は、廣瀬と女子生徒が制服を着て自転車に二人乗りしているシーン。

高校生の時は今とは全く違う、笑顔の廣瀬。

自転車に乗せていたのは彼女の実紀です。

 

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もうこんな感じ。

 

二人は、周りから冷やかされながらも超絶お似合いって言われてるくらいのリア充

花火大会とか行っちゃったり、かなり幸せの絶頂って感じです。

実紀は、宝物のようにそっと廣瀬の名を呼びます。

 

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実紀ちゃん、美人そうな予感。

 

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廣瀬をおどけて呼ぶ実紀ちゃん。可愛い。

 

 

場面は変わり、現在の廣瀬は公園でぼーっと子供を眺めています。

 

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それに気づいた隣のお婆さんがにこやかに話しかけてきました。

 

「…今、おいくつですか?」

廣瀬の問いに、5歳と答えるお婆さん。

どうやら、孫が可愛くて仕方がない様子。

5歳…、と呟く廣瀬。

 

「…5年でずいぶん大きくなるんですね」

「えぇ、あっという間に」

 

会釈し、お婆さんが子供を連れ去った後も、廣瀬は動けないままでした。

 

 

 

ある日のデートでは、彼女の実紀は上の空。

帰り道に心配して問い詰めた廣瀬に実紀は妊娠したと告げました。

 

驚く廣瀬は、咄嗟に「本当に俺の子かよ?」と確認してしまいます。

ずっと思い悩んでいた実紀はカッとなって「あなたの子に決まってる」と怒り、廣瀬に掴みかかります。

 

反射的に突き飛ばしてしまった廣瀬。

バランスを取り損なった実紀は、後ろの階段をゴロゴロと転がっていき、コンクリートに叩きつけられ、暗転します。

 

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次のシーンでは、廣瀬は新宿駅にいました。

アルバイトの面接を受けた帰りでしたが、実紀の親友だった梨沙子に出会います。

顔を隠した廣瀬ですが、梨沙子は気づきました。

二人の間の時間が止まり、静寂が訪れます。

 

 

その後、廣瀬は梨沙子に言われるまま、喫茶店に二人で入りました。

ぎこちない空気ですが、梨沙子に近況を聞かれました。

刑務所を出て生活を立て直している、と廣瀬は話し、会話が途絶えてしまいます。

 

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しばらくの沈黙の後、実紀のことはどう思ってるのか、と聞く梨沙子

廣瀬は答えられません。

 

美樹は許してると思う。…だけど、私は絶対に許さない

廣瀬の言葉を諦めた梨沙子は、それだけ言って、伝票を持ち、立ち去っていきました。

 

 

場面はまた変わり、廣瀬は電話をしています。アルバイトに合格したようです。

廣瀬は、初出勤の帰り、花束を買いました。

実紀の好きだった花と自分の好きな花です。

 

向かったのは、実紀のお墓。

ところが、墓参りの帰りがけだった実紀の両親に出会います。

あなたのせいで…っと詰りかけ、号泣してそれ以上何も言えなくなる母親とそれを抑え、頭を下げ、無言で立ち去る父親。

 

廣瀬は、花を供えることはできず、家の花瓶に入れました。

次の日見ると、花は萎れ、花弁を散らしていました。

廣瀬はそれを土に植え、バイトに行きます。

数日後、バイトからの帰り道、廣瀬は実紀のことを思い出します。

なんとはなしに公園へいくと、そこには、廣瀬の好きな花だけが芽を出していました。

それを見て、膝をつき静かに泣く廣瀬。

 

翌日、廣瀬は身なりを整え、花束を供えに行きました。

そこには、廣瀬と実紀の好きな花束が既に入っていました。

その花束は毎日、墓にきている奥さんが入れたものだと住職が教えてくれました。

廣瀬は、自身が買った花も共に供えて帰りました。

二種類の花は寄り添うよう風に揺れていました。

 

 

ということで、なんか若さゆえの真っ直ぐさとか思春期の歪さとか全部グチャグチャにしたような雰囲気がすごく上手に表現されていて、やるせない気持ちになりました。

廣瀬は、妊娠を告げてきた彼女を誤って殺してしまった罪悪感をずっと持ち続けているんだよね。

でも、どうしていいのかわからない。

最後のシーンで泣くところで、ようやく廣瀬は実紀を失って泣くことができたんじゃないかなぁ…。

そんな風に思いました。

 

それでも、恨まれながらも、後悔しながらも立ち上がって、もがき生きる様がとても良かったです。

BGMも、ほぼほぼないからこそ役者の演技勝負なんだけど、物凄かった…。

見ていてだいぶ辛かったけど、それでもやっぱり生きようと思える映画でした。

 

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