『kinder(カインダー)』(2019年・米) ネタバレ&感想
古来より、冒険は浪漫です。
人類は、宇宙へと果てない夢を描き抱き、銀河へ飛び立ちます。
それは、まだ見ぬ出会いを無意識に求めているからかもしれません。
それでは、いってみましょー。
宇宙人を見つけちゃったらどうするの?
ということで、
『kinder(カインダー)』(2019年・米)
【あらすじ】
2050年、たまたま発見された、地球外の生命のいる惑星。人類は、そこで、独自に進化した、知的生命体を見つけ、意思疎通を試みる。
彼らの文明の発展に協力する人類と、それを受け入れない現地の生物。次第に軋轢が生じていきー…。
はい。大抵のSF映画は、宇宙人の方が高度な文明を持っているんですよね。
ところが、どっこい。これには、高等な宇宙人というのは出てきません。
出てくる宇宙人はこちら。
知的生命…体…?
まぁ、それはさておき。
この星は、たまたま発見されたものです。
新たな生命体の出現に湧く人類。
宇宙人と惑星を発見した宇宙飛行士エマは、一躍、時の人に。
そして、人類は、彼らの文明があまりに進んでいないことに驚くわけです。
ここで、地球規模で盛り上がったのが、文明の発展を手伝おう運動です。
人類史上かつてないお節介です。
連日、様々な文化人やコメンテーターが文明を発展させるには、という話題を議論しますが、知的生命体はなかなか受け入れません。
胡散臭い司会者、レイモンド。
そして、第一人者ということで、エマも番組に呼ばれました。
ところが、その番組は、『宇宙人の生態!』というタイトルを掲げる一方で、ひたすら宇宙人の交尾の映像を流すという酷い代物。
さらには、それを馬鹿にして笑うコメンテーターたち。
こんなの、宇宙人たちの権利の侵害だと怒るエマ。
ところが、司会のレイモンドは、「恥ずかしがる知性もないさ」とのたまいます。
激怒したエマはレイモンドに水をかけ、去ります。
その後、別の番組で、エマは名指しで、レイモンドに「スペースフェミニスト」とディスられます。
そして、盛大に燃える工場…
しばらくして、人類が彼らのために作ってあげた工場が知的生命体たちによって爆破される事件が起こりました。
彼らはそっとしておいてほしかったのです。
エマはその工場爆発の責任を取らされる形で首にされました。
スペースフェミニストという名前で有名になって、連日動向が取り上げられていたので、ゴシップを嫌ったNASAがエマを疎んだのが原因でした。
人類による文明を発展させてあげようキャンペーンはすっかり下火になってしまいました。
そして、研究者によって、知的生命体の知的レベルは牛と同程度という結果が発表されます。
人類は、それなら自分たちの文明の優位性が理解できなくても仕方ないと納得し、牛と同程度の知性なら問題ないと、宇宙人を食肉として食べるようになりました。
皆、宇宙人を知的生命体として文明発展の手助けをしようとしていたことなんてすっかり忘れています。
最後、くたびれた様子のエマが宇宙人の肉を買い物カゴに入れるシーンで終わります。
うーん。人類が侵略者になる側はあまりないですよね。
なんか、ひたすらエマがかわいそう…。
でも、実際、宇宙人を発見したら、果たして我々人類は、本当に捕食しないのだろうか?などの疑問はまぁありますよね。
地球にない薬効成分があるとかだったら…ねぇ?
タイトルも、人類とは別の種ってことでカインドなのかなぁって思ったけど、よく考えたらこのカインドって言葉は、親切な人って意味合いもあるわけだよね。
なんだか色々考えさせられた気がします。
エンディングの曲でも、和訳すると、私は奢りすぎてしまった〜って言ってるあたり、人類の業の深さが窺えますね。
さて、原点回帰をしたくなった貴方にはこちらをお勧め。
あるいは、もっと脳をすっからかんにしたい方はこちらをどうぞ。